PRODUCTION NOTE
  • 卒業制作作品からアカデミー賞短編候補作品へ
  • “スティッチ・パンク”が示す、新しい世界観
  • ハリウッドの演技派が結集した声優陣
  • 人間の根源的なテーマを秘めた哲学的な物語
卒業制作作品からアカデミー賞短編候補作品へ
本作のオリジナル短編映画『9』は、製作当時UCLAの学生だったシェーン・アッカーが、建築学の修士号を終了し、アニメーション課程の卒業制作として完成させた作品。 約4年半に及ぶ製作期間中、アッカー監督はニュージーランドで『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』(03)の製作に携わっている。 「あれはまるでアニメーションのブートキャンプのようなもの。素晴らしい経験だった」その後作品は完成し、学生アカデミー賞の金メダル(最高賞)を獲得するなど数々の賞を受賞。そして、栄誉あるアカデミー賞短編アニメーション賞にノミネートされ、さらなる注目を集めるようになった。 本作のプロデューサー、ジム・レムリーは、『9』がアカデミー賞候補となる以前からこの物語に惹きつけられていた。 彼の助手が持っていた『9』のDVDを観たレムリーは、アゴが外れるほど驚いたという。 「何度も何度も見直したよ。シェーンは人間でさえないものを通して人間性を伝えていたんだ」と彼は振り返る。 ほどなくして、映画製作の限界に挑戦する作品を創り出してきた2人の監督が名乗りを上げた。 ティム・バートンとティムール・ベクマンベトフである。 ティム・バートンは語る。 「短編映画『9』は、僕が観た中でもっとも驚異的な11分間だった。シェーンのコンセプトには、映像だけでなく、感情に響く、驚くべきディテールと記憶に焼きつくほど美しい世界観があった」。 ティムール・ベクマンベトフが言葉を添える。 「観客として、シェーンの短編映画の虜になった。だからその物語がどうなるのか、その前に何が起こったのか、知りたくなったんだ。シェーンを助けて、彼の壮大で、意味深く、楽しい映画のビジョンを支援したいと思った」。 脚本には、ティム・バートンと何度も仕事をしてきたパメラ・ペトラーが加わり、核となる世界観はそのままに、まるでキャンバスを広げるように壮大なストーリーを構築していった。 長編化の成功を確信していたとペトラーは語る。 「この短編は長編化によって、素晴らしいアドベンチャー映画になると思っていたわ。これは国や人種を決め付けない世界を描いた、普遍的な物語。苦しい戦いもあるけれど、希望と前向きな姿勢を描いた作品なの」

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“スティッチ・パンク”が示す、新しい世界観
ツギハギだらけの麻布と、腹部をおおうジッパー、そして大きな丸いガスマスクの目。東欧のパペットアニメーションを連想させるこの奇妙なキャラクター造型には、ユニークな誕生秘話があった。 「短編映画『9』のキャラクターデザインは、たくさんのストップモーション・アニメの達人たち、ヤン・シュヴァンクマイエル、クエイ兄弟、ロイエンシュタイン兄弟からヒントを得たもの。 元々はストップモーションで描きたいと考えていたんだけれども、学生の生活費では高くて手がでない。 そこで僕は『どうすればこのキャラクターたちを作れるだろう?』と考え始めた。 材料は揃っている。道具も、部品も、スクラップも。 そこで、自分たちの所持品やゴミを自分の中に収納する放浪の民を創造していったんだ」いつしかファンの間で、この人形たちは“スティッチ(継ぎはぎ)パンク”と呼ばれるようになる。この造語を、アッカー監督はまさにキャラクターを言い表していると言う。 「不毛の大地で生き残るためにデザインされた、おもちゃとは違う彼らの肉体的な特徴にも合致している。彼らが生存する世界は、過去の瓦礫とそこから台頭する新しい命を連想させる不屈の精神と質感をリアルに表現していなくてはならない。そうした情景描写のデザインは、第二次世界大戦で崩壊したヨーロッパの都市の写真や、ズジスワフ・ベクシンスキー幻想的な芸術作品からヒントを得ていったんだ」 また、ティム・バートンは、キャラクターたちに“目玉”があることがお気に入りらしい。 「最初にとても気に入ったことのひとつが…僕の『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の主人公には目玉がないんだ。 だから、『9』では目をつけて感情を与えようとしているところが気に入った。人間ではないキャラクターの扱い方と、そこに感情を与えようとしているところが僕のやり方とは違う。だからこそ興味がわいたし、エキサイティングな挑戦だと思った」

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“ハリウッドの演技派が結集した声優陣
短編映画『9』はセリフがなかったものの、長編映画化にあたっては、豪華なボイス・キャストが集められた。 主人公“9”の声に抜擢されたのは、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのイライジャ・ウッド。 アッカー監督いわく「ナイーブだが自分の直感に従うことを恐れず、そうすることでリーダーになっていく人間を演じることのできる俳優」として熱望が実現。 さらに、その仲間たちの声を吹き替えるのは、錚々たる顔ぶれだ。 忠誠心の厚い“5”にジョン・C・ライリー、反逆心旺盛な女戦士“7”にジェニファー・コネリー、頑固で保守的な“1”にクリストファー・プラマー、ちょっと変わった芸術家の“6”にクリスピン・グローヴァー、そして、かつては発明家だった老人の“2”にはマーティン・ランドーがキャスティングされている。 さらにアッカー監督と共にUCLAでアニメーションを学んだフレッド・ターターショーが、「“1”の知力に対して、腕力で勝負する」とアッカー監督が言う“8”の声で参加している。

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“人間の根源的なテーマを秘めた哲学的な物語
自分は何のために生まれ、そしてどこへ向かっていくのか――? 人間のもつ根源的ともいえる深いテーマを、この物語では、麻の人形になぞらえて問いかけていく。 「僕たちは、世界がどんな方法で、なぜ終りを迎え、人類に何が起こり、その先の希望はあるのかを深く掘り下げようとした。そのためには“過去”を描くことも重要だった。麻の人形でできた彼らはいったい何者なのか、なぜ彼らなのか、どうやって彼らは再び進むことができるのか?そうして、異なる感性をもつファンタジーの世界に観客を連れ出し、感情や交流の仕方がまさに人間そのもののキャラクターたちと共に、感動の旅に踏み出してもらえるだろう」 冒険を通して成長し、真実を探し当てる“9”。 彼がクライマックスにもたらすひと筋の希望は、エモーショナルな感動を誘うはずだ。

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